会長挨拶
中国四国地方大会
大会会長
宮内雅人
高知大学
教育研究部医療学系
臨床医学部門
災害・救急医療学

第42回日本救急医学会中国四国大会を高知大学医学部災害・救急医療学講座が主催させていただき大変光栄に思っています。前回の高知開催から12年、新型コロナウイルスという嵐が吹き荒れましたが、高知県は地震、台風などの自然災害、高齢化率全国2位、人口減少、高知市周辺部への人口集中など未だ多くの問題を抱えています。救急医療の現状は、人口当たりの救急車出動件数全国2位で特に高齢者からの出動要請が増加している一方で、病床数の削減、地域間の医師数や医療水準の格差などがあります。さらに迫りくる南海トラフ地震という大きな課題に直面しており、医学部教育、研究、診療すべてに関わる共通課題として極めて大きなエフォートで現在取り組んでいます。今回のテーマはこれら多くの課題とその解決に向けた方向性を示すというコンセプトで、AIを利用して「絆を育む救急医療」としました。救急医療こそが地域の絆、人との絆を生み、強く結びつけるという願いを込めて、です。ポスターは救急医療を通じて明るくなる社会というイメージで、医学会初めての試みと思いますが高知在住絵本作家の永井みさえさんにお願いして作成していただきました。
本学会では直面する問題として災害医療を取り上げ、特別講演は災害の専門家で、日本学術会議主催関東大震災100年記念事業のパネリストである専修大学人間科学部教授大矢根淳先生にお願いしました。災害と社会学を中心に医療とは違う視点でご講演していただきます。また次世代を担う医学部学生さんたちにも災害医療の取り組みについて発表してもらいます。シンポジウムとして四国4大学医学部の先生方、ドクターヘリ事業の第一人者である前橋赤十字病院中村光伸先生、海上搬送の専門家である防衛医科大学教授兼海上自衛隊1等海佐黒川貴幸先生をお招き、災害教育、南海トラフ地震について議論をしていただきます。
教育講演を日本医科大学形成外科・再建外科・美容外科教授小川令先生に救急医でも痕を残さずに縫合するコツを伝授していただき、日本医科大学放射線科准教授上田達夫先生には劇的救命IVR、をお願いしています。またハンズオンセミナーなど多くの魅力あるプログラムで皆様をお待ちしています。
ここ南国土佐での12年ぶりの学会を実りある学会にしたいと思っています。よろしくお願いします。